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総合施設長が挑む 専門職の道

心のつたえかた 2

心の伝えかた

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続きです。

皆さんは年賀状を出していますか?
毎年書く人、もらう専門の人、決して出さない信条の人…。
様々だと思います。

 僕は10年以上前までは、毎年1000枚前後の年賀状を書いていました。が、お世話になった年上の人が多かったため、「終活のため年賀状を送るのをやめさせていただきます」旨の状を受け取ることが多く、数年前からは2桁程度まで減ってしまいました。

 LINEやメールで効率よく、新年の挨拶をするほうが都合がいいのはよく理解しています。ですけどせっかくの機会だから寂しさもありますよね。
 今回は「手書き」について2つエピソードを書こうと思います。

1.感謝状
 10年ほど前、僕は居宅介護支援事業所でケアマネージャーとして働いていました。そのとき臨時で入社したケアマネが、ある市町村の長だった方で、初老の年齢ながら気力体力は僕よりもずっと上の人でした。
 まず見たことがない経歴の方ながら、自分の半分以上年下の僕に対して気さくに接していただけるし、業務の仕方を伝えたときも感謝をいつも伝えられました。
 まったく偉そうに見せるそぶりすらなく、それどころかこちらの年代に合わせて話題をつくる非常に魅力的な人だったと覚えています。
 同僚として働けて、楽しい数年でしたが、僕も夢に向かって退職するときが来ました。
決めたときに一番最初に挨拶をしたところ、退職日に自宅に手紙が届きました。
 あの方から毛筆で書かれていて、感謝状~から続く「あなたに仕事を教えていただけた2年間は人生でも1.2の楽しい日々だった」「あなたが退職されると聞いて、半身を割かれたかのような寂しさです」「しかし夢に向かって進む姿に勇気をもらい、私ももう一度挑戦する気になりました」など書かれていたのです。
 世辞もあるでしょうが、あまりの達筆と感謝の思いにこちらも胸いっぱいになり、泣いてしまいました。あとにも先にも手紙に泣かされたのはこの1度です。直筆の力ですね。

2.持って行く
 とある僕の師匠の話。その方はけっこうな年上だったので、早い段階から「年賀状は卒業」と言われていました笑
 それでも気にしないで毎年送っていたところ、ついにお叱りの電話が来たのですが…「返事はいらないので、自分の毎年成長していく姿を見て欲しい」「教えていただいたことを、きちんと実践できているか振り返ることもできる」旨を伝えると、理解していただけました。
 残念ながら数年前にお亡くなりになったのですが、葬儀に参列して最後のお別れをするときに、棺に僕の送り続けた年賀状があるではありませんか。「え!?」と思いご遺族にお聞きすると、「自分の一番の教え子のものだから、持って行く」と遺言があったそうです。
 僕の稚拙で悪筆な挨拶文が恥ずかしかったのですが、でも自分の物を旅立ちに選んでいただけるとは本当に光栄で、胸がいっぱいになりましたね。

 直筆の物は、反応がすぐにわからず現代で言えば「レスポンスが悪いもの」になってしまいます。ですが上の2つのエピソードは、SNSやメールでは決してありえないことです。相手のことを思い時間をかけて向き合って書くから、一生心に残るできごとになったのではないでしょうか。
 どうです、直筆悪くないでしょう笑今年は年賀状書いてみましょうか。